日商簿記検定3級 第122回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題5問の出題!仕訳問題予想の予想が的中!

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でした。

 第122回・日商簿記検定3級 試験問題予想のページで「個人的には、特に【手形の裏書・割引】【前払金・前受金】【固定資産の購入・売却】【資本金・引出金】あたりからの出題がありそうな気がします」と書きましたが、ほぼ完璧に近い予想が出来たと思います。


 問1の引出金に関する問題は、会社(店)が負担すべき費用なのか、店主個人が負担すべき費用なのかをきちんと分けられるかどうかを問う問題でした。

 会社(店)負担の固定資産税は「租税公課」勘定を使って処理し、店主個人が負担すべき固定資産税および所得税を会社(店)が立て替えた場合は、「引出金」勘定を使って、純資産の社外流出を認識することになります。

 問2の当座取引に関する問題は、問題文に列挙されている勘定科目から、1勘定制(当座勘定のみを使って処理する方法)を採用していることを読み取らなければなりません。

 通常、得意先から小切手を受け取った場合は、現金勘定の増加を認識することになりますが、問題文に「ただちに当座預金に預け入れた」という文言がありますので、当座預金勘定の増加を認識する点にも注意してください。

 問3の仕入取引に関する問題は、【裏書手形に関する仕訳】【為替手形に関する仕訳】【引取運賃に関する仕訳】に分けて考えることをおすすめします。

 為替手形の権利関係についてごちゃごちゃになってしまっている方は、日商簿記検定と語呂暗記のページの、為替手形の権利関係をまとめた語呂を覚えるようにしてください。この語呂は簿記2級以上の勉強をする際にもかなり役に立ちます。

 問4の売上取引に関する問題も問3と同様に、【前上金に関する仕訳】【裏書手形の受取に関する仕訳】【発送運賃に関する仕訳】に分けて考えることをおすすめします。

 前受金に関する仕訳は、既に切られた仕訳から導き出すと簡単ですし、他店発行の約束手形を裏書譲渡された場合は、機械的に受取手形勘定を増加させるだけですし、当店負担の発送費は別建てで費用認識するだけです。

 問5の固定資産の売却に関する問題は、売却代金を未収金で処理する点に気をつけるだけです。間違えて現金勘定や売掛金勘定を使ってしまった方は、もう一度テキストに戻って復習するようにしてください。

 時間がある方は減価償却費の計算方法が「月割り計算」ではなく、「年割り計算」だったらどうなるか、減価償却方法が「間接法」ではなく、「直接法」だったらどうなるか…といろいろ考えてみると理解が深まると思います。


 今回も前回以前と同様、過去問と似たような問題が繰り返し出題されています。今後もこの傾向は続いていくと考えられますので、過去問対策は必ず行うようにしてください。簿記検定ナビでは、仕訳問題対策ページで過去問類題をたくさんご用意しておりますので、ぜひご利用ください。

第2問 分記法で記帳された勘定から、三分法の仕訳を導き出す仕訳問題でした!

 第2問は、第1問と同様に【仕訳問題】でした。問題の資料で与えられた分記法で記帳された商品売買に関する取引を、三分法で記帳することにした場合に、どのような仕訳になるかを答えさせる問題でした。

 解答手順としましては、分記法で記帳された勘定から仕訳を推定する→推定した仕訳からどのような取引だったのかを判断する→判断した結果に従って、三分法により仕訳を切り直すという感じになります。

 ここで注意していただきたいのは、本問で問われているのは、7日、10日、21日、22日、29日の5日分の取引だけであって、その他の日の仕訳を推定する必要はありません。何も考えずに全ての仕訳を推定しようとするとかなりのタイムロスになってしまいますので気をつけてください。


 それでは7日の取引から順番に考えていきましょう。まず、分記法で記帳された勘定から以下のような仕訳を推定することが出来ます。

(借)買掛金 6,000
 (貸)商品 6,000

 商品の減少を認識するとともに、買掛金の減少も認識していますので、この取引は仕入戻しであると判断することが出来ます。この仕入戻しの取引を三分法によって仕訳を切り直せばいいわけですから、答えは以下のようになります。

解答すべき仕訳
(借)買掛金 6,000
 (貸)仕入 6,000

 同じように10日の取引を考えてみると…

(借)商品 25,000
 (貸)現金 25,000

 商品の増加を認識するとともに、現金の減少を認識していますので、この取引は通常の仕入であると判断することが出来ます。この通常仕入の取引を三分法によって仕訳を切り直せばいいわけですから、答えは以下のようになります。

解答すべき仕訳
(借)仕入 25,000
 (貸)現金 25,000

 同じように21日の取引を考えてみると…

(借)売掛金 57,000
 (貸)商品 38,000
 (貸)商品売買益 19,000

 売掛金の増加を認識するとともに、商品の減少および商品販売益の発生を認識していますので、この取引は通常の売上であると判断することが出来ます。この通常売上の取引を三分法によって仕訳を切り直せばいいわけですから、答えは以下のようになります。

解答すべき仕訳
(借)売掛金 57,000
 (貸)売上 57,000

 同じように22日の取引を考えてみると…

(借)商品 8,000
(借)商品売買益 4,000
 (貸)売掛金 12,000

 商品の増加および商品売買益の減少を認識するとともに、売掛金の減少を認識していますので、この取引は売上戻りであると判断することが出来ます。この売上戻りの取引を三分法によって仕訳を切り直せばいいわけですから、答えは以下のようになります。

解答すべき仕訳
(借)売上 12,000
 (貸)売掛金 12,000

 同じように29日の取引を考えてみると…

(借)商品売買益 3,000
 (貸)売掛金 3,000

 商品売買益の減少を認識するとともに、売掛金の減少を認識していますので、この取引は売上値引であると判断することが出来ます。この売上値引の取引を三分法によって仕訳を切り直せばいいわけですから、答えは以下のようになります。

解答すべき仕訳
(借)売上 3,000
 (貸)売掛金 3,000

 見慣れない出題形式であったため、仕入戻しや売上戻り、売上値引に関しては一見、難しく見えるかもしれませんが、丁寧にひとつずつ考えていくとそれほど難度の高い問題ではありません。むしろ、仕訳の基本的な仕組みを理解されていた方にとってはボーナス問題だったと思います。

 上でも書きましたが、5日分以外の日付の取引まで考えてしまった方は、作問者にひっかけにまんまと引っかかったことになりますので、問題を解き始める前に問題文と解答用紙を必ずチェックして、効率的な解答手順を策定した上で問題を解き始めるように心がけてください。

第3問 今回も試算表作成の問題!T勘定を使って効率よく下書き用紙を書こう!

 第3問は今回も【試算表】の出題でした。平成21年4月30日の残高試算表に、平成21年5月の月中取引を反映させて、平成21年5月末の残高試算表を完成させる問題でした。質・量ともに過去に出題された精算表作成問題と大差はありませんでしたので、きちんと過去問対策をされていた方にとっては特に問題は無かったと思います。

 このような問題は下書き用紙に仕訳を全部書き出した上で集計する方法でも良いのですが、短時間で効率よく解くためにはT勘定を使った解答方法をマスターしていただくのが一番です。頻出勘定についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文の残高試算表に書き込んだり、解答用紙に直接書き込んでいく方法をおすすめします。

T勘定に設定すべき勘定を考えてみよう

  • 必ず設定すべきT勘定:当座預金勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、売上勘定、仕入勘定
  • 各自、必要に応じて設定するT勘定:有価証券勘定など

 それでは、解答手順について詳しく見ていきましょう。

 T勘定を設定し、問題文(A)で与えられている残高試算表の数字をT勘定に反映させた後は、問題文(B)の各取引の仕訳を頭の中で切って、T勘定を設定しているものについてはT勘定に、設定していないものについては、問題文(A)の残高試算表の余白または解答用紙に直接記入していくことになります。

 問題文(B)の各取引を全て反映させたら、T勘定を締め切り、各残高を解答用紙に移記していきます。同様に、T勘定を設定していない勘定で、問題文(A)の残高試算表の余白に書いていたものも忘れずに解答用紙に移記してください。

 下の画像は、管理人が実際に書いた下書き用紙ですので、興味のある方はご覧になってください。日商簿記検定3級の第3問の試算表作成の問題は毎回時間との勝負になりますので、必ずT勘定を使った方法で解けるように練習しておいてください。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

第4問 問題文に書かれた各取引を伝票に起票する伝票会計の問題でした!

 第4問は【伝票会計】の問題でした。非常に簡単な問題ですので、確実に8点満点取りたい問題です。具体的な解答方法ですが…まず各取引の仕訳を明らかにした上で、それを伝票に起票しなおすという形になります。


 まず(1)の取引ですが、旅費を仮払いした際の仕訳を考えた上で、今回問われている仕訳を導き出すのが良いと思います。

旅費を仮払いした際に切った仕訳
(借)仮払金 50,000
 (貸)現金など 50,000
今回問われている仕訳
(借)旅費交通費 53,600
 (貸)仮払金 50,000
 (貸)現金 3,600

 ここで問題文のただし書きに「当店は3伝票制を採用している」とありますので、これらの仕訳を入金伝票・出金伝票・振替伝票に起票していくことになります。

振替伝票
(借)旅費交通費 50,000
 (貸)仮払金 50,000
出金伝票
(借)旅費交通費 3,600
 (貸)現金 3,600

 (2)も同様に、今回問われている仕訳を書き出した上で、入金伝票・出金伝票・振替伝票のいずれかの伝票に起票しなおしてみましょう。

今回問われている仕訳
(借)給料 480,000
 (貸)預り金 16,000
 (貸)現金 464,000
入金伝票
(借)現金 16,000
 (貸)預り金 16,000
出金伝票
(借)給料 480,000
 (貸)現金 480,000

 このような流れで問題を解いていくことになりますが、本問は解答用紙に起票すべき伝票が予め書かれていますので、伝票の書き方を正確に理解していない人でも正解にたどり着ける問題でした。最後まで諦めずに粘り強く取り組んでください。

3伝票制と5伝票制

 最後に、3伝票制と5伝票制の違いについて確認しておきます。3伝票制は、入金に関する取引を入金伝票で、出金に関する取引を出金伝票で、それら以外に関する取引を振替伝票で処理する方法です。

 3つの伝票を使うので、3伝票制と呼ばれています。

 一方、5伝票制は入金に関する取引は入金伝票で、出金伝票に関する取引は出金伝票で処理する点は3伝票制と同じですが、これらに加えて、売上に関する取引を売上伝票で、仕入に関する取引を仕入伝票で処理し、それら以外に関する取引を振替伝票で処理する方法です。

 5つの伝票を使うので、5伝票制と呼ばれています。

 さて、本問が仮に5伝票制を採用していた場合、解答は3伝票制を採用していた場合と異なるでしょうか?答えは…解答は同じです

 なぜなら(1)(2)は売上や仕入に関する取引ではないからです。3伝票制と5伝票制で解答が異なるのは、売上や仕入に関する取引がある場合のみです。

第5問 精算表を作成させるオーソドックスな問題でした!

 第5問は【精算表の作成】に関する問題でした。未処理事項・決算整理事項の質・量ともに過去問と大差はありませんから、しっかり対策していた方は満点(32点)が取れたのではないでしょうか。

 では早速、具体的な問題の解き方について考えていきましょう。個人的には、まず未処理事項・決算整理事項の取引を全て、下書き用紙に仕訳を切っていただいた上で、それを集計して精算表の修正記入欄に反映させ、損益計算書と貸借対照表を完成させる流れが一番いいと思います。

 なお、第3問ではT勘定を使った解き方をご紹介しましたが、第5問でT勘定を使う必要はありません。

 個別の取引についてですが、こちらは特に言及することはありません。ただし、保険料の前払いは第120回、第121回に引き続いて3回連続で出題されており、今後も毎回出題されることはほぼ確実ですから、ここで一度おさらいをしておきましょう。

保険料の前払い

 保険料の前払い問題はほとんどの場合、毎年一定額を支払っているという条件がつきますので、前年度末に切った費用の前払いの仕訳から考えていくと分かりやすいです(今回の問題文にも「本年度も昨年度と同額を支払っている」と書かれていました。)

前年度末に切った費用の前払いの仕訳
(借)前払保険料 6か月分の保険料
 (貸)支払保険料 6か月分の保険料

 ちなみに、上記仕訳の金額部分に書かれている「6か月分の保険料」というのは、今年度の1月から6月末までの6か月間に期間按分された保険料を意味します。


今年度の期首に切った再振替仕訳
(借)支払保険料 6か月分の保険料
 (貸)前払保険料 6か月分の保険料

 上記の仕訳については何も問題がないと思います。期首に、前期末に切った費用前払いの仕訳の逆仕訳を切るだけです。次に7月1日に切った仕訳を考えてみましょう。

1年分の保険料を支払った時に切った7月1日の仕訳
(借)支払保険料 12か月分の保険料
 (貸)現金など 12か月分の保険料

 以上のような2本の仕訳を期中に切っていることがお分かりいただけたでしょうか?

 つまり、解答用紙の残高試算表に予め記載されている支払保険料45,000円というのは、6か月分の保険料+12か月分の保険料=18か月分の保険料の数字と言うことになりますので、45,000円を18か月で割ると、1か月あたりの保険料が2,500円であることが分かります。

 1か月あたりの保険料を算定することが出来たら、最後に費用の前払いの仕訳を切ることになりますが、この仕訳の金額については今までのように「~か月分の保険料」という形ではなくて、1か月あたりの保険料を元に数字を記入することが出来ますよね。

 具体的には6か月分を前払い処理するので、1か月あたりの保険料が2,500円×6か月=15,000円ということになります。

決算整理事項である費用の前払いの仕訳
(借)前払保険料 15,000
 (貸)支払保険料 15,000

 なお、この費用の前払いの仕訳を切ることによって、18か月分計上されていた「支払保険料」勘定が12か月分に訂正され、正しい数字が損益計算書に記入されることになります。

 保険料の前払いに関する仕訳の流れは以上です。保険料の前払いに関しては苦手にしている方が多いですが、一度理解できれば逆に得点元に出来る論点ですので、諦めずにじっくり取り組んでみてください。

 なお、日商簿記検定3級 第121回総評ページの第5問でも保険料の前払いについて画像付きで説明していますので、間違えてしまった方はあわせて押さえておくようにしてください。

まとめ

 第122回日商簿記検定3級の問題は、第121回と同様に全体的に平易な問題が多く、合格率もかなり高くなると予想されます。また前回と同様に過去問と似たような出題がいくつかありましたので、ある程度、力が付いてきたら過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。

 なお、第5問の保険料の前払いの論点などは3回連続で、しかもほとんど同じような形で出題されています。このように典型論点はしつこく聞かれる傾向にありますので、復習の際は意識して問題を解くようにしてください。



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