日商簿記検定2級 第122回総評(過去問分析)

第1問 今回もいつも通り仕訳問題!試験問題予想の予想が的中しました!

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でした。第122回日商簿記検定2級 試験問題予想のページで「ここ最近連続して出題されている有価証券の売却、荷為替手形などは特に出題される可能性が高いと思います」と書きましたが、ほぼ完璧に近い予想が出来たと思います。


 問1の増資時の株式発行に関する問題は、簡単だったので特に問題ないと思います。問題文の「なお、会社法が認める最低額を資本金とする」というのは、簡単に言いますと「半分は資本金に、半分は資本準備金に計上しなさい」ってことですから、会社に払い込まれた金額を半分ずつに分けるだけです。

 なお、なお書きがない場合は、原則どおり全額資本金として計上することになります。

 問2の荷為替手形に関する問題は、荷為替取組分と掛売上分とを分けて考えてることをおすすめします。荷為替手形に関しては「受け取った手形をすぐに当座預金に換金した」と考えるとスムーズに仕訳を切ることができるはずです。

 掛け売上のほうの仕訳は簡単ですので、この問題は荷為替手形の処理が出来たかどうかがポイントになります。

 問3の有価証券の売却に関する問題は、問2と同様に、「有価証券利息を受け取った仕訳」と「売買目的有価証券を売却した仕訳」を分けて考えることをおすすめします。

 利息に関する仕訳は、問題文の「端数利息は1年を365日として日割りで計算する」という文言に従って日割り計算する必要があります。試験に出てくる日割り計算は、73日もしくは146日(どちらも365で割り切れる数)がほとんどですので、頭の片隅に入れておくと計算を簡略化できると思います。

 売却に関する仕訳は、裸相場と利付き相場の違いが分かっていれば特に問題ないと思います。両者の違いを簡単に言いますと、裸相場とは、利息が含まれていない値段、利付き相場とは利息込みの値段ということになります。受験簿記ではこれぐらいの理解で十分です。

 問4の火災未決算に関する問題は、焼失直前の固定資産の簿価を未決算勘定に振り替えるだけです。問題文の「当期の減価償却費を月割りで計上するとともに」という指示に従って、下書き用紙に数直線を書いて機械的に計算してください。

 仕訳問題対策第122回日商簿記検定2級・問4類題に追加問題を掲載しておりますので、時間のある方はこちらのほうもチェックするようにしてください。

 問5の法人税等に関する問題は簡単ですので特にコメントはありません。中間納付時に計上した仮払法人税等勘定を相殺するとともに、期末未払分を未払法人税等勘定を使って処理するだけです。

第2問 帳簿組織からの出題!二重仕訳を考慮しつつパズル感覚で解こう!

 第2問は、試験問題予想のページで予想したとおり【帳簿組織】からの出題でした。ただ、この問題は帳簿組織と言うよりも「パズル」に近いですね。二重仕訳を考慮しつつ、分かるところからどんどん数字を埋め込んでいくだけです。

 それでは早速、数字を埋めていきましょう…とその前に、本問題で二重仕訳が発生する取引は4つ(当座預金と売上、当座預金と仕入、売上と受取手形、仕入と支払手形)ありますが、正しく挙げることが出来ますか?挙げられなかった方は必ずテキストに戻って復習しておいてください。

 問題文のなお書きに、「これらの取引の合計仕訳にさいして控除された二重仕訳の金額は、2,664,000円であった」とありますので、上記の4取引の合計額が2,664,000円であるということが分かります。


 さて、以上のことを踏まえたうえで問題を解いていきます。まず、受取手形記入帳の売上欄864,000円から、売上帳の受取手形欄(f)の金額が864,000円と分かると同時に、売上と受取手形間の二重仕訳金額が864,000円ということが分かります。

 次に売上帳の合計差額から当座預金欄(e)の金額が576,000円と分かると同時に、当座預金と売上間の二重仕訳金額が576,000円ということが分かります。

 さらに、売上帳の当座預金欄は当座預金出納帳の売上欄の金額と等しいので、当座預金出納帳の(a)の金額が576,000円ということになり、収入欄の合計(b)の金額が1,704,000円であることが分かります。

 続いて、仕入帳の当座預金欄の金額が540,000円と書かれていますので、当座預金出納帳の仕入欄の(c)の金額が540,000ということになり、合計差額から支払手形欄の(d)の金額が496,000円であることが分かります。またそれと同時に、当座預金と仕入間の二重仕訳が540,000円であることも分かります。

問題文で与えられた「二重仕訳の合計金額=2,664,000円」を考える

 ここで4つの二重仕訳のうちの3つの金額が確定しましたので、二重仕訳合計金額の2,664,000円から3つの金額を控除すると、仕入と支払手形間の二重仕訳の金額を算定することが出来ます

 計算の結果、684,000円ということが分かりますので、仕入帳の支払手形欄(h)および支払手形記入帳の仕入欄(i)の金額が684,000円となります。

 最後に、仕入帳の買掛金欄(g)と支払手形記入帳の合計欄(j)の金額を差額でそれぞれ、856,000円と2,052,000円と算定して解答終了となります。

第2問・帳簿組織の二重仕訳合計金額の算定
第2問・帳簿組織の二重仕訳合計金額の算定

 上記の画像は私が問題を解く際に実際に書いた下書き用紙です。このように図に起こすと二重仕訳を把握しやすいと思いますし、計算の漏れも少なくなると思います。よろしければ参考にしてください。

第3問 大方の予想に反し、損益計算書を作成させる問題が出題されました!

 第3問は【損益計算書作成】の問題でした。簿記検定ナビでは、本支店会計を本命として、精算表作成を対抗として予想していましたが、第110回、第118回に出題された財務諸表の作成問題が、まさか第122回で出題されるとは…さすがに予想できませんでした。

 ただ、問題の内容自体は通常レベルですし、しかも損益計算書のみの出題ですから、頭を使って効率よく仕訳を切っていけば短時間で完答することができたはずです。それでは各取引について個別に注意すべき点やポイントなどをまとめていきたいと思います。


資料Ⅱ

  1. 仕訳の集計時に売上勘定を見落としがちなので気をつけること。
  2. 当期の減価償却費を忘れずに計上すること。固定資産除却損は貸借差額で算定する。
  3. 解答用紙に予め書かれている「償却債権取立益」を計上する仕訳がこれ。

資料Ⅲ

  1. 貸倒引当金を差額補充法によって計上するとき、既に計上されている貸倒引当金が、設定必要額よりも多い場合は、貸倒引当金戻入(特別利益)を計上して調整する点に注意する。「差額補充法→貸倒引当金繰入勘定を使って調整」ではない。
  2. 売上原価に関する仕訳。いつもどおり、解答用紙の数字を埋めるだけ。
  3. 売買目的有価証券を複数保有している場合、有価証券評価損益は各証券の評価益と評価損を相殺した上で計上する点に注意。
  4. 減価償却に関する仕訳。いつもどおり。
  5. 社債に関する仕訳。問題文をよく読んで指示通りに仕訳をきるだけ。
  6. のれんの償却に関する仕訳。資料Ⅰの残高試算表に計上されている336,000円というのは10年分ののれんではなくて、2年分償却後の残り(8年分)である点に注意して按分計算をすること。
  7. 資料Ⅰの残高試算表に計上されている保険料168,000円は、期首再振替分(3か月分)と期中支払分(12か月分)の合計15か月分の金額である点に注意すること。
  8. 特に問題ないはず。
  9. 特に問題ないはず。
  10. 法人税等に関する仕訳。この仕訳に関してはとりあえず最後まで放置しておいて、税引前当期純利益の金額が算定できた段階で仕訳を切ること。仮に「法人税、住民税及び事業税」の金額が小数点になった場合は、どこかの仕訳が間違っているということなので、怪しいところからチェックしていくこと。

 本問は、解答用紙にたくさんのヒントが書かれていますので、それをうまく活用するようにしてください。

 例えば、特別利益の「()戻入」というのは大きなヒントですよね。「ここに貸倒引当金戻入が入るなら、差額補充法を採用している以上、販管費に貸倒引当金繰入が計上されることはないから、販管費の5の空欄は減価償却費で間違いなさそうだな」といったような感じです。

 あとは、損益計算書のひな型ぐらいは暗記しておいてください。【売上高-売上原価-売上総利益-販管費-営業利益-営業外収益・費用-経常利益-特別利益・損失-税引前当期純利益-法人税、住民税及び事業税-当期純利益】ぐらいを頭の中に入れておけば十分です。

第4問 材料費会計に関する問題でした!正しい勘定連絡図を書けますか?

 第4問は【材料費会計】に関する問題でした…が、本問は、きちんと勘定連絡図を書けたかどうかがポイントになります。

 まず、解答用紙と同じように、材料・製造間接費・仕掛品・買掛金の各勘定を下書き用紙に書きます(勘定はBOX形式でもT勘定形式でもどちらでも構いません)。次に、解答用紙に予め金額が記入されているものを、下書き用紙のほうにも書いていきます。

 あとは、6月の月中取引を1つずつ勘定に反映させていきます。例えば、6月2日の仕訳は、材料勘定の借方に2,800,000円を計上するとともに、買掛金勘定の貸方にも同じように2,800,000円を計上します。

 全ての取引を勘定に反映させたら各勘定の金額を集計して、仕掛品勘定の月初有高や買掛金勘定の現金支払い高などを差額で算定します。


 本問は、勘定の流れがきちんと頭の中に入っている方にとっては簡単な問題に映ったと思いますが、逆に勘定の流れを把握できない人にとっては難問に映ったかもしれません。

 試験問題予想のページで、「工業簿記の勘定連絡もきちんと押さえておくようにしておください」と書きましたが、第121回・第122回と連続して勘定連絡の理解を問う問題が出題されており、今後の出題も大いに考えられますので、間違えてしまった方はテキストに戻ってきちんと復習しておいてください。

 ちなみに、第121回の第4問の勘定連絡図のほうが今回の問題よりも難度が高いですから、復習の際は「第122回の本問→第121回の第4問」の順番で取り組むと良いと思います。

 なお、下の画像は、管理人が問題を解く際に実際に書いた下書きで、各勘定の流れをまとめたものです。間違えてしまった方は、同じような勘定連絡図が書けるかどうか一度確認してみてください。

 勘定連絡図の作成は工業簿記の体系的な理解のために非常に有益ですし、本問は復習教材としてかなりいい問題ですのでので、何も見ずに書けるようになるまで練習してください。

第4問・材料費会計の勘定連絡図
第4問・材料費会計の勘定連絡図

第5問 単純総合原価計算の問題でした!ボックス内の数字を埋めるだけです!

 第5問は【単純総合原価計算】からの出題でした。先入先出法&平均法によって月末仕掛品原価および完成品総合原価を計算する問題でしたが、とても簡単なレベルでしたのでぜひとも満点を狙いたいところです。

 下の画像は管理人が問題を解く際に、実際に書いた下書き用紙です。原材料と加工費のボックスを分けて書いていますが、ひとつにまとめて書く人もいますので、お好みのほうをお選びください。

 本問は、「必要最低限の下書き+電卓操作」だけで完答できる問題ですので、復習時には「いかに少ない下書きの量で問題を解くことができるか」ということを念頭に問題を解くようにしてください。

第5問・単純総合原価計算の下書き
第5問・単純総合原価計算の下書き

まとめ

 第122回日商簿記検定2級も前回と同様に、過去問と似たような出題がいくつかありました。テキストと問題集を何度も繰り返し、ある程度力が付いてきたら、過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。

 過去問を解く際には「必ず時間を計ってやること」「なるべく少ない下書きで正解が導き出せるように工夫すること」の以上2点に気をつけてください。

 計測したタイムは解答用紙に記入しておき、回数を重ねるごとに短縮できているかチェックするようにしてください。下書き用紙については捨てずに解答用紙に挟んでおき、前回のものと比べられるようにしておいてください。

 なお、第1問の仕訳問題の過去問類題は、仕訳問題対策ページにまとめてありますので、興味のある方はぜひご覧ください。



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