日商簿記検定3級 第121回総評(過去問分析)

第1問 今回も仕訳問題5問の出題!過去問を制する者は第1問を制する!

 第1問は今回もスタンダードな【仕訳】問題でした。

 問1は小切手の受取りに関する問題でした。注意していただきたいポイントは、送金小切手を受け取った場合は現金の増加として処理するという点です。当座預金の増加として処理してしまうミスが考えられますので、ひっかからないようにしてください。

 問2は給料の支払に関する問題です。このように勘定がたくさん出てくるような問題は、「立替払いに関する仕訳」「源泉徴収に関する仕訳」「現金払いに関する仕訳」というように、取引ごとに区分した上で、それぞれどのような仕訳を切るべきか考えると分かりやすいと思います。

 問3は仕入に関する問題です。本問も問2と同様、「手付金に関する仕訳」と「手形に関する仕訳」に分けて考えると分かりやすいです。【為替手形の引き受け】と【約束手形の振り出し】は両方とも支払手形勘定を増加させる、ということが分かったかどうかがポイントになります。

 問4は小口現金に関する問題です。本問は第112回の問4で出題された小口現金の問題とほとんど同じでしたので、過去問対策をきちんとやった方にとっては非常に簡単な問題だったと思います。

 問5は当座に関する問題です。当座関係の処理に関しては、【当座預金勘定と当座借越勘定を使う2勘定制】と【当座勘定のみを使う1勘定制】の2つが考えられますが、この論点は日商簿記検定3級の頻出論点ですので、どちらも必ず出来るようにしておいてください。

 今回も前回以前と同様、過去問と似たような問題が繰り返し出題されています。今後もこの傾向は続いていくと考えられますので、過去問対策は必ず行うようにしてください。簿記検定ナビでは、仕訳問題対策ページで過去問類題をたくさんご用意しておりますので、ぜひご利用ください。

第2問 帳簿からの出題!補助記入帳や補助元帳から仕訳を推定する問題でした!

 第2問は【帳簿組織】からの出題でした。問題文で当座預金出納帳と受取手形記入帳、売掛金元帳が与えられ、それらの資料から仕訳を推定するという問題でした。見慣れない出題形式でしたが、1つ1つ丁寧に考えていけばそんなに難しい問題ではなかったと思います。

 ではまず1月10日の取引から考えていきましょう。当座預金出納帳に「発送費(当社負担)の支払…5,000円」とあり、売掛金元帳に「埼玉商店に対する売上…300,000円」とありますので、以下のような仕訳を推定することが出来ます。

 なお、仮に発送費が得意先負担の場合は、発送費勘定ではなく、売掛金勘定に含めて処理することになります。

1月10日の仕訳
(借)発送費 5,000
 (貸)当座預金 5,000
(借)売掛金 300,000
 (貸)売上 300,000

 次に1月17日の取引です。受取手形記入帳に「売掛金回収…190,000円」とありますので、以下のような仕訳を推定することが出来ます。なお、てん末の「1月20日に割引」という文言は、この時点で頭の中に入れておきましょう。

1月17日の仕訳
(借)受取手形 190,000
 (貸)売掛金 190,000

 さらに1月20日の取引です。当座預金出納帳と受取手形記入帳に、手形を割り引いた旨の記載がありますので、以下のような仕訳を推定することが出来ます。

 割り引いた受取手形の金額190,000円と、当座預金の増加分189,000円の差額である1,000円が手形売却損になることを認識できたかどうかがポイントになります。

1月20日の仕訳
(借)当座預金 189,000
(借)手形売却損 1,000
 (貸)受取手形 190,000

 最後に1月26日の取引です。当座預金出納帳に「埼玉商店、掛け回収、小切手…150,000円」とありますので、以下のような仕訳を推定することが出来ます。

1月26日の仕訳
(借)当座預金 150,000
 (貸)売掛金 150,000

第3問 今回も試算表作成の問題!T勘定を使って下書き用紙を書いてみよう!

 第3問は今回も【試算表】の出題でした。平成20年12月末日の繰越試算表と平成21年1月の月中取引から、1月末日の残高試算表を作成するというよくある問題でしたが、前回と同様、残高試算表ではなく合計試算表を作成してしまった方が結構いらっしゃったようです。

 このような単純なひっかけに釣られてしまう方は、問題文をきちんと読んでいない場合がほとんどです。第3問に限らず、どの問題も【問題文を読む→解答用紙を確認する→問題を解き始める】という順番を徹底してください。

 なお本問の場合は、問題文2行目の「平成21年1月31日の残高試算表を作成しなさい」という箇所を読んだときに、「残高試算表」部分を丸で囲むなりラインを引くなりして目立たせておきましょう。

 さて、具体的な解き方についてですが、1つ1つ仕訳を切る方法ではなく、頻出勘定についてT勘定を設定し、その他の勘定については問題文の繰越試算表に書き込んだり、解答用紙の残高試算表に直接書き込んでいく方法をおすすめします。

必ず設定すべきT勘定

商品勘定、売掛金勘定、買掛金勘定、受取手形勘定、支払手形勘定、現金勘定、当座預金勘定

お好みで設定するT勘定(管理人が上記のものとは別に、今回設定したT勘定)

前払金勘定、前受金勘定、未収金勘定、未払金勘定、売買目的有価証券勘定

 下の画像は、管理人が実際に書いた下書き用紙ですので、興味のある方はご覧になってください。日商簿記検定3級の第3問の試算表作成の問題は毎回時間との勝負になりますので、必ずT勘定を使った方法で解けるように練習しておいてください。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

第4問 解答用紙に金額まで記入されている簡単な訂正仕訳問題でした!

 第4問は【訂正仕訳】の問題でした。とても簡単な問題でしたのでぜひとも完答したいところです。間違って切ってしまった仕訳と正しい仕訳を考えた上で、訂正仕訳を考えると分かりやすいと思います。

誤記入

間違って切ってしまった仕訳
(借)買掛金 56,000
 (貸)仕入 56,000
正しい仕訳
(借)仕入 56,000
 (貸)買掛金 56,000
訂正仕訳(解答)
(借)仕入 112,000
 (貸)買掛金 112,000

二重仕訳

間違って切ってしまった仕訳
(借)水道光熱費 28,000
 (貸)当座預金 28,000
正しい仕訳
(借)水道光熱費 14,000
 (貸)当座預金 14,000
訂正仕訳(解答)
(借)当座預金 14,000
 (貸)水道光熱費 14,000

第5問 精算表を作成する問題でした!下書き用紙の書き方がポイントになります!

 第5問は【精算表の作成】に関する問題でした。【決算日に判明した事項】と【決算整理事項】に基づいて精算表を作成するという問題でしたが、備品の減価償却費計算において新備品と旧備品を分けて計算する点と、保険料の繰延べ処理の点以外は大きな引っかけもなく、高得点が狙える問題だったと思います。

 では早速ですが、保険金の繰延べ処理について詳しく説明させていただきます。まず問題文の「保険料は毎月5月1日に向こう1年分を支払っている。本年も同日に前期と同額を支払っている」という記述に注目してください。

 前期の5月1日に1年分の火災保険料を支払っているわけですが、今年の1月1日から4月30日までの4か月分については、前期末時点では前払いとなりますので、前期末に前払保険料を計上していることが分かり、それに対応する形で、当期の期首に再振替仕訳が切られています。

1月1日(期首)
(借)支払保険料 18,000
 (貸)前払保険料 18,000

 次は5月1日の12か月分の保険料を支払ったという取引ですが、これはただ単に支払った金額の仕訳を切るだけです。よって、解答用紙の残高試算表の支払保険料72,000円というのは、期首の再振替仕訳と5月1日の保険料支払いの仕訳の金額を足したものですから、この時点で16か月分の保険料が計上されていることになります。

5月1日(保険料支払日)
(借)支払保険料 54,000
 (貸)現金など 54,000

 最後に、決算整理仕訳において、4か月分の前払いを認識しますが、これによって16か月分計上されていた保険料が12か月分に修正されますので、正しい数字が精算表に載ることになります。

解答(決算日)
(借)前払保険料 18,000
 (貸)支払保険料 18,000

 保険料の繰延べは頻出論点ですので、間違えてしまった方や、きちんと理解できていない方は、必ずテキストに戻って復習するようにしてください。

 なお、管理人の下書きを載せておきますので、下書き用紙の書き方に悩んでいる方や興味のある方はご覧ください。いろんな解き方があると思いますが、今回は一度、下書き用紙に仕訳を切った上で、精算表の修正記入欄に移記する方法を採っています。

第5問・精算表作成問題の下書き
第5問・精算表作成問題の下書き

まとめ

 第121回日商簿記検定3級の問題は全体的に平易な問題が多く、合格率もかなり高くなりました。また前回と同様に過去問と似たような出題がいくつかありましたので、ある程度、力が付いてきたら過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。

 なお、第5問の火災保険料の繰延べの論点などは2回連続で、しかもほとんど同じような形で出題されています。このように典型論点はしつこく聞かれる傾向にありますので、復習の際は意識するようにしてください。



ページの先頭へ