日商簿記検定3級 第115回総評(過去問分析)

第115回の問題は「仕訳→帳簿組織→試算表→伝票会計→精算表」でした!

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。問1は現金過不足を雑益または雑損に振り替える仕訳で、日商簿記検定3級では頻出の論点ですので、かならず出来るようにしておいてください。

 期中に現金の過不足が判明した場合(帳簿残高≠実際有高)、返金過不足勘定で一時的に処理しておいて、最終的に原因が特定できなかった金額を決算整理仕訳で雑益または雑損に振り替えます。一連の流れを考えると理解しやすいと思います。

 問2は誤記入の問題です。このような問題は【①間違って切ってしまった仕訳】【②正しい仕訳】【①を②に訂正する仕訳】という順番で考えていきましょう。本問では以下のようになります。

①間違った仕訳
(借)売掛金 56,000
 (貸)売上 56,000
②正しい仕訳
(借)売掛金 65,000
 (貸)売上 65,000
③訂正する仕訳(解答)
(借)売掛金 9,000
 (貸)売上 9,000

 問4は固定資産の売却です。商品売買以外の取引から発生した債権ですので、売掛金勘定ではなく未収金勘定を使って仕訳を切ることになります。

 問5は概算額を手渡ししただけですから、金額が確定するまでは仮払金勘定で処理することになります。金額が確定した後、仮払金勘定を旅費交通費勘定に振り替えます。


 第2問は【帳簿組織】からの出題でした。問1では帳簿の名称が聞かれていますが、帳簿の【摘要欄】または【てん末欄】から容易に受取手形記入帳であることが分かります。まずこれで2点獲得です。

 問2は指定された日付の仕訳を記入する問題です。260,000円の手形は1月5日に売掛金の回収として取得、2月5日に銀行での取立てが完了した、というものです。仕訳自体はとても簡単なので、問題の資料から読み取れたかどうかがポイントになります。

 同様に350,000円の手形は、1月9日に商品売上の対価として取得し、2月9日に裏書譲渡した、というものです。こちらも同様に資料からの読み取りがポイントになります。


 第3問は今回も【試算表】の出題でした。残高試算表を作成する問題でしたが、特に難しいところも無く分量も普通でしたので、第114回の第3問と同様に、繰り返し解く問題としては適していると思います。

 頻出する勘定、すなわち現金勘定、当座預金勘定、受取手形勘定、売掛金勘定、支払手形勘定、買掛金勘定、売上勘定、仕入勘定についてT勘定を設定し、あとは仕訳を頭の中で考えて、勘定に数字を記入していくだけです。

 勘定を設定していない仕訳については、解答用紙にそのまま記入するか、問題で与えられている合計試算表に書き込むことになります。私が解答する際に、実際に書いた下書きを載せておきますので参考にしていただければ幸いです。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

 ピンクのマーカーでラインを引いた部分が、残高試算表に記入すべき数字になります。慣れないうちは大変だと思いますが、この解き方をマスターすれば、下書き用紙に仕訳を切って、それを集計して…というやり方に比べて大幅に時間を短縮することが可能となります。まずは私が書いた下書き用紙を参考にしながらT勘定を設定し、実際に数字を記入していってください。


 第4問は【伝票会計】の問題でした。5伝票制で起票された伝票を3伝票制に起票しなおす問題ですが、丁寧に解いていけば何も難しくありません。

5伝票制によって起票された伝票を仕訳の形に戻す

売上伝票
(借)売掛金 200,000
 (貸)現金 200,000
入金伝票
(借)現金 50,000
 (貸)売掛金 50,000
解答仕訳
(借)売掛金 150,000
(借)現金 50,000
 (貸)売上 200,000

3伝票制に起票しなおす

  • 分割法【取引を現金売上と掛け売上とに分解して処理する方法】
振替伝票
(借)売掛金 150,000
 (貸)売上 150,000
入金伝票
(借)現金 50,000
 (貸)売上 50,000
  • 擬制法【いったん全額を掛け売上として処理する方法】
振替伝票
(借)売掛金 200,000
 (貸)売上 200,000
入金伝票
(借)現金 50,000
 (貸)売掛金 50,000

 3伝票制と5伝票制について、簡単にまとめたものを載せておきますので、参考にしていただければ幸いです。【振替伝票の取り扱いの違い】と【5伝票制の仕入伝票と売上伝票の相手科目】がポイントになります。

伝票会計のまとめノート
伝票会計のまとめノート

 第5問は【精算表】でしたが、オーソドックスな問題でしたので特にコメントすることはありません。ただ、解答用紙の精算表には当座預金勘定ではなく当座借越勘定が記載されていますので、下のほうの空欄に自分で【当座預金】と書きこまなければなりません。

 解答用紙の当座借越という文字を見つけたときに、【借方残になったら当座預金勘定が必要だな】ということに気付けたかどうかがポイントになります。

 また、消耗品の取り扱いや前払い保険料の処理の仕方など、頻出論点については確実に得点できるようにしておいてください。

まとめ

 今回は第5問を除いて質・量ともにオーソドックスな問題ばかりでしたので、出来は良かったと思います。第5問は少しひねって出題されていますので、付け焼刃の知識では対応できない部分もあったと思います。合格率は35.2%でした。

 今回の問題は第114回と同様に、過去問の中でも良質な部類に入りますので、力をつけるために何度も解き直す事をおすすめします。特に第3問は、T勘定を使った下書きの書き方をマスターするのに適した問題だと思います。

 また、今回も過去問と似たような出題がいくつかありました。ある程度、力が付いてきたら過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。今回、残念ながら不合格だった方も、次の受験前にはぜひ過去問を有効活用して合格を勝ち取ってください。



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