日商簿記検定3級 第113回総評(過去問分析)

第113回の問題は「仕訳→勘定記入→試算表→語句記入→精算表」でした!

 第1問は今回も【仕訳】問題でした。問2は、会社にとって負担義務の無い出費ですので、従業員立替金勘定で処理することになります。ちなみに給料から差し引くとありますが、具体的な仕訳は以下のようになります。

給料支払時の仕訳
(借)給料 3,800,000
 (貸)当座預金など 3,450,000
 (貸)従業員立替金 350,000

 問3はまず、備品と消耗品を区別できたかが第一のポイントになります。さらに消耗品に関しては【消耗品】勘定で処理する場合と【消耗品費】勘定で処理する場合がありますが、本問の場合は、使用できる勘定科目が制限されていますから、【消耗品費】勘定を使って処理していくことになります。

 問5は、小口現金の問題で、以下のような仕訳が正解になりますが、選択肢に小口現金勘定が与えられていますので、小口現金勘定を使った別解も考えられます。個人的には、小口現金勘定を使わない仕訳のほうが自然だと思います。

解答仕訳
(借)旅費交通費 30,000
(借)消耗品費 89,000
(借)雑費 13,000
 (貸)当座預金 132,000
別解
(借)旅費交通費 30,000
(借)消耗品費 89,000
(借)雑費 13,000
 (貸)小口現金 132,000
(借)小口現金 132,000
 (貸)当座預金 132,000

 第2問は【勘定記入】からの出題でした。分記法で記帳された商品勘定および商品売買益勘定、損益勘定から仕訳を考え、その仕訳を、三分法を用いて記帳するというもので、かなり難しい問題に部類されると思います。

 問題を解く順番は以下の手順がいいと思いますのでご確認ください。第109回の第二問と同じ形式の問題ですので、そちらのほうの解説も参考にしてください。→第109回・日商簿記検定3級 総評

  • 分記法で記帳された商品勘定および商品売買益勘定、損益から仕訳を考える
  • その仕訳を三分法を用いた場合にどうなるか考えて仕訳を切りなおす
  • その仕訳を基に勘定の空欄を埋めていく

4月20日の売上戻りについて

 問題文で与えられている勘定をぱっと見ただけでは、売上戻りなのか売上値引なのかすぐに分からないかもしれませんが、売上戻りであれば商品売買益勘定だけでなく、商品勘定にも反映されることになります。

分記法の売上戻り【原価と利益の修正を行う。売上時の逆仕訳
(借)商品 *****
(借)商品売買益 *****
 (貸)売掛金 *****
分記法の売上値引【原価の修正を行わず、利益の修正のみ行う
(借)商品売買益 *****
 (貸)売掛金 *****

 本問の場合、商品勘定に4月20日の取引が記帳されていますので、売上値引ではなく、売上戻りがあったことが分かります。第109回の問題は売上値引のほうが出題されていましたので、よく分からない方は処理の違いなどを確認してみてください。→第109回・日商簿記検定3級 総評

 なお、4月16日も同様に仕入戻しなのか仕入値引なのか不明ですが、仕入戻しと仕入値引は仕訳が同じ【仕入時の逆仕訳】ですので、本問ではどちらの取引であったか考える必要はありません。


 第3問は今回も【試算表】の出題でした。この問題のポイントは、問題文の【上記(1)および(2)に含まれるものを除く】【上記(1)、(2)および(3)に含まれるものを除く】というところです。

 これは、取引を認識するに当たって二重計上のことは考えなくていいよ、という作問者からメッセージですので、必ず見つけられるようにしてください。私はこのような記載があった場合は、枠で囲むか、下線を引くようにして目立たせるようにしています。

 仮にこのような記載が無ければ、仕訳の二重計上を防止するためのチェック【例えば、第110回試験・第3問の下書き用紙右側で行っているようなチェックが必要になります。→【第110回・日商簿記検定3級 総評

 あとは、主要勘定につきT勘定を設定して、その他の勘定科目については問題用紙の残高試算表の左右にプラスマイナスして後で集計するか、または、そのまま解答用紙の残高試算表に記入していきます。私が解答する際に、実際に書いた下書きを載せておきますので参考にしていただければ幸いです。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

 ピンクのマーカーでラインを引いた部分が、残高試算表に記入すべき数字になります。合計残高試算表の作成が求められた第110回試験の第3問の下書き用紙と比べていただくと分かりやすいですが、少しだけ下書きが違っているのにお気づきでしょうか?

 今回の問題は残高試算表を作成する問題ですので、借方合計、貸方合計を算定する必要がありません。ですから、その分だけ下書き用紙がシンプルなものになります。ただ、なんとなくT勘定を設定して問題を解いていくのではなく、何を求められているのか?を頭に入れながら問題を解くようにしてください。


 第4問は【語句記入】の問題でした。資本の引き出しについて【①資本金勘定のみを使って処理する場合】と【引出金勘定と資本金勘定を使って処理する場合】の勘定記入の方法を問うものです。

 ②の方法のポイントは2つあり、1つは、期中に資本金の払出しが行われた場合は払出金勘定を使って処理すること、もう1つは、期末に払出金勘定に残高がある場合は、これを資本金を相殺する仕訳を切ることです。これらが分かっていればこの問題は簡単に解けたと思います。

 具体的な解答手順ですが、資本金勘定のみを使って処理した資料から仕訳を推定し、期中に切られた資本金減少の仕訳の資本金勘定を払出金勘定に置き換え、期末に払出金勘定と資本金勘定を相殺する仕訳を追加するだけです。

(1)資本金勘定のみを使って処理した資料から仕訳を推定する

4月15日
(借)資本金 78,000
 (貸)現金 78,000
6月18日
(借)資本金 71,000
 (貸)当座預金 71,000
8月31日
(借)土地 1,000,000
 (貸)資本金 1,000,000
10月23日
(借)資本金 41,000
 (貸)現金 41,000
11月10日
(借)資本金 67,000
 (貸)仕入 67,000
12月31日
(借)損益 407,000
 (貸)資本金 407,000

(2)期中に切られた資本金減少の仕訳の資本金勘定を払出金勘定に置き換え、期末に払出金勘定と資本金勘定を相殺する仕訳を追加する

4月15日
(借)引出金 78,000
 (貸)現金 78,000
6月18日
(借)引出金 71,000
 (貸)当座預金 71,000
8月31日
(借)土地 1,000,000
 (貸)資本金 1,000,000
10月23日
(借)引出金 41,000
 (貸)現金 41,000
11月10日
(借)引出金 67,000
 (貸)仕入 67,000
12月31日
(借)資本金 257,000
 (貸)引出金 257,000
(借)損益 407,000
 (貸)資本金 407,000

 あとは、(2)の仕訳を解答用紙の勘定に埋めていくだけです。ここでは説明の便宜上、(2)の仕訳も書きましたが、下書き用紙に書く際には(1)の仕訳を修正するような形で書いたほうが時間を短縮できます。


 第5問は【精算表】でした。この問題のポイントは【未処理事項の取り扱い】です。本問の未処理事項は、貸倒引当金や売上原価の算定に影響しますので、注意深く対処する必要があります。

 特に、未処理事項の(1)1の、得意先から返品されてきた商品については、問題文で与えられている期末商品棚卸高に含まれていないため、売上原価の算定にあたって考慮しなければなりませんが、このような記述は見落としがちですので、十分に注意してください。

まとめ

 今回の第2問は難しかったと思いますが、同様の問題が109回で出題されていますので、過去問を繰り返し解いていた方の出来は良かったと思います。毎回書いていますが、ある程度、力が付いてきたら過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。

 第4問、第5問もどちらかと言うと難しいほうに分類されると思いますが、粘り強く問題にあたれば部分点を積み重ねていくことは十分可能な問題です。一見難しそうだからといってあきらめずに、最後の1秒まで悪あがきを続けてください。なお、今回の合格率は35.0%でした。



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