日商簿記検定3級 第111回総評(過去問分析)

第111回の問題は「仕訳→語句記入→試算表→伝票会計→精算表」でした!

 第1問は今回も【仕訳】問題でしたが、特に難しい問題はなかったと思います。

 問3は、営業用の自転車に係る自動車税は会社の経費としての性格を持ちますので租税公課勘定を使って処理することになりますが、事業主の所得税は本来、事業主が負担すべきものですから、会社のお金から支払った場合は資本金の払い戻しと考え、資本金勘定を減額する仕訳を切ることになります。

 問5は、事務机の購入の問題です。一見、営業活動とは関係のない取引に見えますが、問題文に【販売用の~】とありますので、買掛金勘定を使って処理することになります。未払金勘定は、営業活動以外の活動によって債務が発生した場合に使う勘定だということをご確認ください。


 第2問は【語句記入】の問題でした。各問の難度はそれほど高くないと思いますが、見慣れない形式だったので面食らってしまった方も多かったようです。このような問題は、具体的な金額や状況を自分で仮定するとイメージしやすくなると思います。

 問1は、まず売上総利益の算定式を考えてください。【売上総利益=売上高-売上原価】です。売上原価については【売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高】で求めることが出来ます。

 これらがイメージできたら下書き用紙にボックスを書き、問題で与えられた条件を遵守しながら金額を自分で仮定してボックスを埋めていきます。

 私が解答する際に、実際に書いた下書きを載せておきますので参考にしていただければ幸いです。私は期首商品棚卸高を200、当期商品仕入高を800、売上高を1000と仮定してボックスを埋めました。

 そして、期末商品棚卸高が200から400に増加したと仮定して、その際に売上総利益がどうなるかを考えています。

第2問・語句記入の下書き
第2問・語句記入の下書き

 問2は、帳簿に関する穴埋め問題です。通常は、取引が行われると仕訳帳に記帳され、それを取引発生順に元帳に個別転記することになりますが、これでは、ある特定の取引についての明細記録を得ることは出来ません。そこで補助記入帳と呼ばれる帳簿を新たに設けて、上記の欠点をクリアしているのです。

 ポイントは【現金出納帳に記入される取引はかならず仕訳帳にも記入される】ということです。下の画像は、帳簿について私がまとめたものなので、参考にしていただければ幸いです。

帳簿組織のまとめノート1
帳簿組織のまとめノート1

 問3は有名な論点なので大丈夫だったと思います。売上値引・割戻は、売上の利益部分を差し引くものですから、仕入原価に変動はありません。従って、売上値引・割戻は商品有高帳に記入しないことになります。下の画像は、仕入帳・売上帳・商品有高帳について私がまとめたものなので、参考にしていただければ幸いです。

帳簿組織のまとめノート2
帳簿組織のまとめノート2

 問5は、簿記でも使える語呂暗記ページに掲載されている指受宛払(さしうけあてばらい)を知っていればすぐに解答できる問題です。【指図人→受取人、名宛人→支払人】となります。

 この語呂は覚えておくとかなり使えますので、興味のある方は簿記でも使える語呂暗記ページに詳細がありますのでご覧ください。


 第3問は今回も【試算表】の出題でした。1つ1つの仕訳自体は難しくありませんが分量が多いため、効率よく解いていかないと時間が無くなってしまう問題でした。

 このような問題はまず、①補助記入帳の二重取引を把握するために簡単な図を書きます(下の管理人の下書き用紙の左上部分にある図です)図の書き方に関しては特に決まりはありませんが、見直し時に簡単に目視できるように、下書き用紙に残しておくことをおすすめします。

 本問では【現金出納帳⇔当座預金出納帳】【当座預金出納帳⇔仕入帳】【当座預金出納帳⇔売上帳】で二重取引が発生していますが、問題によっては【現金出納帳⇔仕入帳】【現金出納帳⇔売上帳】なども考えられますので、見落としのないように気をつけてください。

 二重取引を把握したら、問題文の該当箇所に打ち消し線を引いて、他と明確に区別してください。具体的には、以下の3箇所になります。これらは仕訳を切っていくときは無視することになります。

  • 資料Ⅰ(1)現金出納帳の借方・①当座預金からの引出高 200,000円
  • 資料Ⅰ(2)当座預金出納帳の借方・当座振込みによる売上高 47,000円
  • 資料Ⅰ(2)当座預金出納帳の貸方・小切手振出しによる仕入高 27,000円

 上記の下準備が終わりましたら、一気に仕訳を切っていきます。と言いましても、下書き用紙に仕訳を1つ1つ書いていくような方法では時間的に厳しくなってしまいますから、主要勘定についてT勘定を設定し、その他の勘定科目については直接、解答用紙に書き込んでいってください。

 【現金、当座預金、売掛金、買掛金、受取手形、支払手形、売上、仕入】に関しては、この手の問題ではほとんどの場合、T勘定を設定することになると思います。その他については臨機応変に対応していくことになりますが、本問題では【前受金、前払金、引出金】についてT勘定を設定しました。

 設定する基準は十人十色ですが、私は問題文をざっと見て、2回以上出てきそうな勘定科目についてはT勘定を設定するようにしています。

 下の画像は、私が実際に解いた際に書いた下書きですので、参考にしていただければ幸いです。

第3問・試算表作成問題の下書き
第3問・試算表作成問題の下書き

 第4問は【伝票会計】の問題でした。(1)は伝票で頻出される一部現金取引の問題で、(2)は…特にひねりのない普通の問題です。(1)(2)ともに実際に仕訳を切ってみて、分割法で処理されているのか、擬制法で処理されているのかを確認し、それを踏まえて答案用紙を埋めていきます。


 第5問は【精算表】でした。ボリュームは多かったものの、内容自体は特に難しくなかったと思います。

まとめ

 今回は第3問と第5問のボリュームが多かったため、途中で時間切れになる受験生が多かったようです。ただ、1つ1つの仕訳自体は比較的容易なものが多かったので、効率よく解けたかどうかが合否を左右するポイントになりました。合格率は低めの21.9%でした。

 総合問題を解く際は、常にスピードを意識して解くようにすると力が伸びると思います。具体的には、問3を45分前後で、問5を30分前後で解けるようになるまで何度も繰り返し解くことをおすすめします。たくさんの問題に手を出すのではなく、良問を何度も繰り返すほうが効果は高いと思います。

 また、今回も過去問と似たような出題がいくつかありました。ある程度、力が付いてきたら過去問を入手して典型論点の問題をこなしておくと合格率が飛躍的に上がると思います。今回、残念ながら不合格だった方も、次の受験前にはぜひ過去問を有効活用して合格を勝ち取ってください。



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